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シリーズ解説「ニュースで学ぶ」とは
スクモールの人気授業「ニュースで学ぶシリーズ」について、その授業内容に対する講師の想いやこだわりをぜひご覧ください。
●情報化社会の弊害
毎日のようにニュースは流れます。政治、経済、スポーツ、エンタメなど様々なジャンルがありますが、新型コロナウイルスのように世界的なものでない限りは、多くの時間をかけずにポイントだけをまとめて報道されています。当然、大人が対象であり、政治や経済などの話題は専門用語も飛び交います。子どもたちにとっては、難し過ぎて理解できないだけでなく、面白くない、敬遠されるものです。
それでも、昔は新聞とテレビ、ラジオの情報が全てでしたので、親が見ているものを一緒に見て、少しずつ学んでいったはずです。しかし、現代においては、新聞の購読率は下がり、テレビを観る時間も減り、パソコンだけでなくスマホやタブレットを使って自分の好きな情報だけを取り入れることができます。強制的に難易度の高いニュースに触れることは皆無でしょう。
「では、どうすればその学びを与えられるのか?」 その答えは、公教育で強制的にその時間を作るか、もしくは子どもたちが能動的にアクセスして学ぶ、これしかありません。しかしながら、大勢の子どもたちを相手に正解のない議論をすることは非常に難しいものであり、公教育現場ではなかなか実践できるものではないかもしれません。ということは、能動的にアクセスしてもらえるような演出を含めた教育をする必要があります。これが、スクモールの授業の一つ「ニュースで学ぶシリーズ」が設定された背景です。
世の中の動きとは、自分の好きなものだけではなく、好きなものも嫌いなものも、正義も悪も、あらゆるものが混在して初めて全体像が実感できると思っています。世の中において勧善懲悪というものは実は極めて少なく、賛否両論、あくまでも立場によっての解釈で分かれるものです。
スクモールの授業において、時事的ニュースを取り上げますが、偏った一方の意見ではなく、あくまでフラットにこの賛否両論を知ってもらい、そのうえで自分の判断をしていく思考トレーニングが目的となっています。
●『推測の根拠』を持とう。
時には、かなり難しい話題を取り上げます。2021年4月号にある「世界や日本の死刑制度について」などもハードルは高いかもしれません。しかも複雑かつ膨大すぎて、そのすべての情報を与えることもできません。ですからその中でかなり的を絞って、しかし対極の意見を必ず同量で扱い、考えてもらいます。そして自ら判断する。賛否どちらの意見だとしても、正解です。決して否定はしませんし、その判断をしたことは称賛に値します。ただし、その根拠を自分の中で持つことが大切です。
情報が完全でないから選べない、もしくは選ぶべきではないという論には大反対です。実際に子どもたちが大人になって大きな判断をしなければならないときに、どれだけその判断の精度が上がっているかが大切であり、今判断をしたからといって世の中がそう変わるわけではありません。恐れる必要はありません。推測で良いのです。
『推測の根拠』、これは非常に重要なキーワードだと思っています。「自分はこういう理由でこうなると思う、だからこれです。」 全部推測ですが、それを元に判断をしていく経験が蓄積されて、どんどんその精度を上げることができます。知らないことを恐れず、立ち向かう勇気を持って授業をご覧いただければと思います。