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知床遊覧船の事故はなぜ起きたのか

2022/05/08
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岡崎 吉博[Yoshihiro Okazaki]|スクモール代表のイメージ
岡崎 吉博[Yoshihiro Okazaki]|スクモール代表

北海道の知床半島で発生した観光遊覧船の悲痛な沈没事故から、私たちは何を学ぶべきなのか。大人たちが子どもたちに伝えるべきことは何か。教育の使命を考える今回は、「可能な限り」を放置せず「基準を設ける」ことについて解説します。

● 基準を決める

 北海道の知床半島にて、観光遊覧船の沈没事故が起きました。多くの命が失われ、その遺族の方たちも悔やんでも悔やみきれないでしょう。安全設備などの不備が指摘され、管理会社の社長は記者会見で土下座して謝罪していました。悪天候の中でも出航を決めた背景には、観光客という瞬間的な旅行でそのタイミングでしか体験できない客がいたこと、それは可能な限り出航して楽しんでもらいたいと思うでしょう。その想いは否定しません、むしろサービス業として最も重要な理念の一つだと思います。しかし、その基準が曖昧であったことに問題があります。

 この「可能な限り」という想いは、世の中に溢れています。可能な限り速く、可能な限り多く、可能な限り長く、など願望があるのは当然です。その場合に重要なのは、基準の設定です。誰しもが「可能な限り」そうしたいのです。でもそこには何らかのリスクがあったり、時間的な限界や経済的な限界があったりします。そこに歯止めをかける基準が設けられないとき、不幸に突入してしまいます

 例えば「買い物」だって同じでしょう。もっと欲しい、あの服も欲しい、欲は収まることを知りません。しかし、買い過ぎると破綻するわけです。そこで、毎月いくらまでなら服の買い物をしてよい、とか、1日に上限いくらまでにする、など自らルールを設けるわけです。これは、仕事においても同じことが言えます。広告を出して費用対効果はどうなのか、広告をたくさん出したいけれども、やり過ぎると効果がそれを上回らず赤字になります。広告倒産などという言葉もあるくらい、その基準が難しいですし、重要になっています。この管理会社の安全面における不備は本当に罪深く、非難される対象ですので仕方ないことです。具体的にどんな不備だったのかは専門家に任せて、今回はその基準の設定についてお話したいと思います。

● 放置しない思考

 基準を設けるということは「仕組みを作る」ということです。最適な仕組みを作ることは、社会に出て組織のトップになった時に求められる能力です。部や課においても組織を率いるという意味では同じで、仕事をする上ではほとんどの人が通る道でしょう。そこで必要な能力を養うことこそが教育の使命です

 生徒の皆さんから反論があるかもしれませんが、学校の定期テストについて、私は必要だと思っています。仕組み作りの練習だという側面から考えてみてほしいと思います。定期テスト前には自分の学習スケジュールを立てます。立てなければなりません。そこで、自分の他の予定、そしてテスト範囲を確認した上で必要な学習量の想定、そしてその内容を定着させるために必要な反復回数など、総合的に考えて、計画を立てます。これは自分に対する仕組み作りです。そしてその結果が出て、反省をして、経験を活かして次の定期テストではさらにより良いスケジュールを作る。これが定期テストの最大の意義だと思っています。

 学生の時に自分の「仕組み作り」の練習をして、それを洗練させ、社会に出てからそれを活かして成果を出す。さらにその先に、人に仕組みを与える立場になっていきます。これが組織のトップであり経営者なのだと思います。国でいえば、政治家がそれに値するでしょう。自分の仕組み作りさえロクにできない人が他人に最適な仕組みを与えることができますか? 私はできないと思います。ですから、この仕組み作りを練習するという意識をもって中学生・高校生は定期テストに臨んでほしいと思いますし、大人たちはそれをきちんと伝えなければいけないと思います。

 テストがあってそこで良い点を取ること、なぜそれが素晴らしいのでしょうか? 勝手にその価値観が植え付けられていて、当然子どもたちから反発が起きます。「古典や二次関数なんて将来使わないじゃないか!そんなの覚えて何の役に立つんだ!」と。それでも子どもたちが頑張ろうと思う方が違和感でしかないですし、そう思ってしまうのであれば、ただ言われたことだけを忠実にこなすだけのロボット生産と同じです。それが現代社会において、本当に必要な能力でしょうか?

 自分の仕組みを試行錯誤しながらも作っては反省し改善し、新たに挑戦し、そして最適な仕組みを作れるようになった人が、社会や組織の仕組みを作るべきです。学校や部活、家での生活においても、『可能な限り』を放置しないで、基準 (線引き) というものを考えながら生活していくと、仕組み作りに非常に役立つと思います。

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岡崎 吉博[Yoshihiro Okazaki]|スクモール代表のイメージ
岡崎 吉博[Yoshihiro Okazaki]|スクモール代表

【数千人の生徒・保護者と向き合う人気実力派講師】 20年以上も教育現場に身を置き、これまで多数の卒業生を難関高校・大学へ輩出。学校長として運営する塾教室は、グループ内で全国トップレベルの売上規模を誇る。 現在は合同会社スクモール代表社員、講師。

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