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エネルギー問題の行く末
なぜ日本の電力供給はひっ迫する状況になってしまったのか? その解決策は、原子力を再稼働するか、火力エネルギー削減を見送るのか、今の日本にはその2択しかありません。その決断ができる人間になるためには、比較対照と仮説検証を繰り返し、思考力を鍛えるトレーニングが必要です。
● エネルギーの時代変化
今年の夏は節電要請が免れないという報道が最近よく出てきます。電力が足らない、ということです。このニュースにはどんな背景があるのでしょうか? まず1つ大きいのは「今年の夏が猛暑になる予想がされていること」、そしてもう1つは「コロナが落ち着きを見せ始め、人流が増え、企業や商業施設の使用する電力が多くなるということ」、これが大前提にあります。
しかしもう少し大きな枠組みで考えてみると、「時代の変化」が見えてきます。15年前は日本の電力供給は原子力・石炭(石油)・天然ガスの3つが主に30%ずつ、残りは太陽光や地熱などの再生可能エネルギーが担っていました。しかし、東日本大震災の後に原子力の多くを停止し、現在は石炭(石油)・天然ガスで70%、原子力10%、再生可能エネルギー20%というところです。
ここで、SDGsなる世界の潮流が関係してきます。いわゆる脱炭素・カーボンニュートラルというものです。現在日本の電力供給における最大規模である石炭や天然ガスの火力発電を縮小していく必要があるのです。これは世界の目標として日本も無視するわけにはいきません。さあ、困りました。少なくとも火力を70%から50%以下に抑えて、その分をなんとか再生可能エネルギーに持っていきたい、理想はそうです。少し前にニュースにもなった東京の新築住宅に太陽光ソーラーパネル義務付けも、背景にはこの流れがあるわけです。
ソーラーパネルについても、森林などの自然を破壊して一面パネルを設置すると土砂崩れを引き起こしやすいなど、様々な論調があります。そもそも再生エネルギーにも限界があり、それで不足分を全て賄おうというのは非現実的な話です。さらにはここで、改めて原子力の再稼働についても議論があります。火力発電を減らす分、原子力を復活させるべきなのではないか、当然これも賛否両論あり、日本の原子力に対するトラウマはなかなかのもので、世論は拮抗しています。政治家も板挟みにあって、思い切った決断もできず、とりあえず使用量を減らそう、みんなにお願いしよう、ということで今回の「節電要請」です。
● 節電要請とはいかに
簡単に節電要請と言いますが、猛暑には熱中症の危険性があり、夜でもエアコンをつけずに寝て熱中症になり特に高齢者が亡くなるケースが増えます。テレビで節電要請を観て、まじめに協力しようとして無理してエアコンを使わず、寝ている間に…。ただでさえ、近年の猛暑は厳しく、熱中症で亡くなる方は毎年1,500人を超え、高齢者の割合は8割です。節電要請をするとこの数は2倍以上になると言われています。
決して節電要請を守らなくてよいと言いたいわけではありません。電力がひっ迫している以上、努力しなければいけませんし、仮に需要が供給を上回り、電力供給がストップしてしまう可能性もあります。そうなれば電力会社の管轄内全域が停電となり、猛暑の中の停電は死者1,500人どころか、被害は計り知れません。
ですので、問題は、なぜそういう状況になってしまったのか、です。原子力を再稼働するか、それとも火力エネルギー削減を見送るのか、今の日本にはその2択しかありません。その選択をするべく十分な議論と決断をもっと前からしなくてはならなかったのだと思います。あとの祭り感は否めませんが、やはり批判はあれども決断が政治の仕事なのだと痛切に感じた、節電要請のニュースでした。
決断ができる人間になるには、比較対照と仮説検証を繰り返し、思考力を鍛えなければなりません。そして自分の意見を持つトレーニングをしなければなりません。あ、スクモールの考える授業はそのためにあるのでした!笑
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